「断熱性能等級5って何?」
最近では、住宅性能の高い家が人気を集めており耐震性だけでなく断熱性・気密性といった性能も注目されています。その中で『断熱性能等級』というワードをよく耳にするでしょう。
この断熱性能等級を理解していないと、思うような断熱性能が得られず後悔してしまう可能性があります。
上記のようにならないために本記事では、断熱性能等級について詳しく解説します。高性能住宅を建てる際のポイントも紹介していますので、これから新築する方はぜひ参考にしてみてください。
また、以下の記事では当メディアが厳選する高性能にこだわる住宅会社を紹介しておりますので、気になる方は参考にしてみるといいでしょう。
断熱性能等級とは
断熱性能等級とは、2000年に施行された品確法で定められた住宅の断熱性能を表す指標です。品確法とは住宅の品質確保の促進等に関する法律のことを指します。
断熱性能等級は、1〜7までに分かれており数字が大きいほど断熱性能の高い住宅であることを表します。2025年以降に新築する住宅では、最低でも断熱性能等級4以上でなくてはなりません。
さらに2030年には、断熱性能等級5以上の義務化が決まっています。これから住宅を新築する方は、断熱性能等級5を目指すと快適に生活できるでしょう。
断熱性能等級による違い
ここでは断熱性能等級1〜7の違いを解説します。まずは各等級の内容を表でまとめましたので、ご覧ください。
断熱性能等級 | 内容 |
---|---|
断熱性能等級7 | HEAT20 G3レベル |
断熱性能等級6 | HEAT20 G2レベル |
断熱性能等級5 | ZEHの断熱水準 |
断熱性能等級4 | 平成11年 次世代省エネ基準 |
断熱性能等級3 | 平成4年 新省エネ基準 |
断熱性能等級2 | 昭和55年 旧省エネ基準 |
断熱性能等級1 | 無断熱 |
現在の新築住宅では断熱性能等級4以上がスタンダードとなっており、2025年以降は全ての新築住宅に断熱性能等級4への適合が義務付けられています。そのため、2025年以降は最低基準となる等級です。
断熱性能等級5は、2022年4月に新設されました。2030年以降は、全ての新築住宅に断熱性能等級5への適合が義務付けられています。断熱性能等級6と7は2022年10月に新設された等級です。
HEAT20とは一般社団法人『20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会』の略称となっています。断熱性能等級を上げるほど、高い省エネ効果が得られる仕組みです。
断熱性能等級5の概要
断熱性能等級5は、上位等級として2022年4月に新設されました。ZEHの断熱水準相当の住宅とされています。
ZEHとは電気やガスなどのエネルギー消費量をおさえつつ、自家発電設備でエネルギーを生み出し、年間の消費エネルギーを実質的にゼロ以下にする住宅です。
ZEH住宅の前提となる断熱性能は、等級5以上でなくてはなりません。住宅がZEH認定を受けると、経済産業省および環境省による戸建ZEH補助事業によって補助金が受け取れます。
さらに2000年に制定された長期優良住宅の認定を受けるために、当初は断熱性能等級4以上が必要でした。しかし、2022年10月より長期優良住宅の認定にも、ZEH基準同等の断熱性能である断熱性能等級5以上が必要となっています。
長期優良住宅に認定されると、住宅ローン控除の借入限度額の増額や固定資産税の減税期間延長など多くのメリットがあります。
低炭素住宅には断熱性能等級4以上が必要です。低炭素住宅認定を受けると住宅ローン控除の借入限度額が増額されフラット35の住宅ローン金利が引き下げられるなどメリットが多くあります。
これから新築する方は断熱性能等級5以上を目指すと良いでしょう。
断熱性能等級5の基準とは
ここでは、断熱性能等級5の基準を解説します。
断熱性能等級5で推奨されている断熱材の厚さや、推奨されている窓とサッシをそれぞれ解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
断熱性能等級5の断熱材
断熱性能等級5の住宅で使用されている断熱材は、『国土交通省 品質確保の促進等に関する法律に基づく住宅性能表示制度におけるZEH水準を上回る等級について』を参照すると以下の通りになります。
- 天井・・・高性能グラスウール18K 210mm
- 外壁・・・高性能グラスウール16K 105mm
- 床・・・内側:高性能グラスウール32K 42mm+外側:高性能グラスウール32K 80mm
上記は、東京などの地域で使用する断熱材の素材と厚さを国土交通省が提示する一つの例として紹介しました。
断熱性能等級は断熱材だけで決まるわけではなく、断熱材の素材や厚さも決まっているわけではありません。推奨されている例として参考にしてみてください。
断熱性能等級5の窓
窓やサッシは、住宅の断熱性能を考える上で非常に重要な箇所です。窓から冬は50%熱が逃げ、夏は74%熱が入り込むと言われています。
そこで、国土交通省が提示する一つの例として断熱性能等級5の住宅(東京などの地域)で使用されている窓とサッシを紹介します。
- 窓・・・Low-E複層ガラス
- サッシ・・・アルミ樹脂複合サッシ
北海道などの寒冷地では、より断熱性・気密性の高い窓とサッシを推奨しておりますので、お住まいの地域によって採用するものを決めると良いでしょう。
断熱性能の高い家を建てる際の3つのポイント
ここでは断熱性能の高い家を建てる際のポイントを解説します。
断熱性能の高い家を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
通風計画をたてる
1つ目のポイントは通風計画を立てることです。断熱性能等級が高い家は、住宅の気密性も高くなるため室内に熱や湿気がこもりやすくなります。
湿気が室内にこもると結露しやすくなり、カビやダニが発生する可能性があるため注意が必要です。通風計画とは、機械で空気をコントロールする換気とは異なります。
自然の風の動きを計算することを指し、四季の風の動きを考慮して部屋の位置を決めたり、窓の位置や大きさなど工夫が求められます。
そのため、断熱性能の高い家を建てる際は通風計画をしっかりと立てるようにしましょう。
地域に適した窓やサッシを選ぶ
2つ目のポイントは地域に適した窓やサッシを選ぶことです。窓は熱の出入りがもっとも多い場所ですので、住宅性能の高い家を建てたい場合は、窓ガラスの種類やサッシにも配慮しましょう。
また、住んでいる地域によって気候が異なります。地域によって推奨される窓ガラスやサッシの種類は変わりますので、住宅を建てる際はその土地の気候に詳しい住宅会社に依頼すると良いでしょう。
実績のある住宅会社に依頼する
3つ目のポイントは実績のある住宅会社に依頼することです。断熱性の高い断熱材や窓、サッシを使用しても施行会社に技術がなければ、住宅性能の高い家は建設できません。
断熱性の高い家を建てるには、断熱性能だけでなく気密性も重要になります。気密性能を示すC値の測定や住宅の気密処理は、実績のある住宅会社でなければ断られてしまう可能性もあるでしょう。
そのため、高断熱・高気密住宅の施工実績が豊富な住宅会社に相談・依頼すると安心です。
おすすめの断熱性能等級は?
おすすめの断熱性能等級は『断熱性能等級5』です。2025年には断熱性能等級4が義務化され、2030年には断熱性能等級5が義務化されます。
そのため、これから家を建てる方は断熱性能等級5を目指すと良いでしょう。断熱性能等級は高い方が快適な室内づくりができますし、省エネ効果も期待できます。
しかし、断熱性能等級の高い住宅にするにはそれなりに費用がかかってきます。予算に余裕がある方は高い断熱性能等級を目指すと、より快適な生活が送れるでしょう。
断熱性能を高めるには気密性も重要
断熱性能の高い家を実現するには、断熱性だけでなく気密性も重要になります。いくら住宅の断熱性能(保温力)が高くても、家中に隙間が空いていたら意味がありません。
家に隙間がないことを表す気密性の高さも重視しましょう。住宅の気密性はC値によって表されています。断熱性能等級と合わせてC値を聞くことで、検討している住宅会社の施工レベルや性能への意識の高さがわかります。
まとめ
本記事では、断熱性能等級について解説してきました。
断熱性能等級とは、2000年に施行された品確法で定められた住宅の断熱性能を表す指標です。断熱性能等級は、1〜7までに分かれており、数字が大きいほど断熱性能の高い住宅であることを表します。
新築する際に2025年には断熱性能等級4以上であることが義務化され、2030年には断熱性能等級5以上であることが義務化されます。
上記のことを踏まえて、これから住宅を新築する方は、断熱性能等級5を目指すと良いでしょう。
住宅を建てる地域の気候によって、断熱性能等級の基準(使用する断熱材や窓、サッシの種類)が異なります。詳しくは検討している地域の住宅会社に聞いてみてください。
本記事が少しでもお役に立てれば幸いです。